作成:2021・01・11


お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


 

 2.引き伸し用レンズでもAF撮影したい

 随分と昔ですが、ネットオークションで安く入手した「引き伸し用レンズ」のEL-NIKKOR 50mm F2.8を分解してみて、SPに付かないものかと悩んだことがあります。
 この引き伸し用レンズのフランジバック 43.9mmに対し、S(M42)マウントのフランジバックは 45.46mmと僅かな差なのですが、ヘリコイドが必要ですし、11mmあまり、後群がオーバーハングしているのです。SPではではミラーをカットすることが必要になります。タクマーレンズの鏡胴に組み込めないかと思いあぐねているうち、肝心のEL-NIKKOR 50mm F2.8を不用意に分解して、組み立てられなくなってしまい、引き伸し用レンズを使うのは断念したことがあります。。。情けないヤツと笑ってけろ。
 

 LM-EA7にヘリコイド付Mマウウントアダプターを介してFujinar-E 75mm F4.5を取付けました

2.1 ヘリコイド付 M42-Mマウウントアダプターの使用

 タクマーレンズでAF撮影ができるようになると、LM-EA7に引き伸し用レンズを取付けて、AFで撮影できないものかとさらに雑念がわいてしまいました。とりあえず、ヘリコイド付Mマウウントアダプターを買いました。
 ヘリコイド付Mマウウントアダプターで引き伸し用レンズ使うため、繰出し量とおよその最短撮影距離を求めてみました。表の中で、EL-NIKKOR 50mm F2.8は、フランジバックが短いので、撮影距離は、最短で0.17mですが、1.6mから先の遠景にはピントが合いません。これ以外の焦点距離のレンズは、適切な中間リングを挟むことで、遠景にピントが合い、さらにヘリコイドの繰出しで近接撮影も可能です。M39変換はM39-M42ねじリング使うことにして光路長は0mmとしています。表中のマイクロフィルム用の63mm F3.5以外は手元にあるレンズです。
 オーバーインフが気になる場合があるかもしれないので、内径40mm 板厚0.5mm の市販シムリング(170円)を挟むために準備しましたが、必ずしも必須ではありません。
 

ヘリコイド付 M42-Mマウウントアダプターと引き伸し用レンズの使用法の検討

No. 引き伸しレンズ
(フランジバック)
EL-NIKKOR
50mm/F2.8
(43.9mm)
EL-NIKKOR
63mm/F3.5
(55.0mm)
Fujinar-E
75mm/F4.5
(67.6mm)
EL-NIKKOR
80mm/F5.6
(70.0mm)
備  考
 Mマウントのフランジバック 27.8  
1  ヘリコイド付Mマウウントアダプター 17.6〜29.6  Pixco 参考5,180円
2
 
 M42 中間リング
 7mm 14mm 28mm
7.0+14.0 14.0  ノーブランド 参考900円
 類似の 9 16 30mmセットに注意
3
 
 M42 中間リング
 No.1:9.5mm No.2:19.0mm No.3:28.5mm
9.5 9.5  PENTAX 接写リング 手持ち
4  スペーサリング 0.5mm ×2=1.0 ×2=1.0  岩田製作所 シムリング 参考170円
5
 
 ライカマウントアダプター A (2.0mm)
 M39 - M42ねじリング (0mm)

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0

0
 PENTAX FUJICAも同じ
 Pixco おまけ
 合計光路長 ≦ フランジバック であること 45.4 NG 54.9 67.4 69.9  NG:50mm F2.8は∞を結像しない
 総繰出し量 (LM-EA7+ヘリコイド)
 最短撮影距離 (LM-EA7+ヘリコイド)
 最短撮影距離 (LM-EA7の繰出し量のみ)
16.5mm
0.17m
0.60m
16.5mm
0.26m
0.90m
16.4mm
0.36m
1.25m
16.5mm
0.41m
1.45m
 最短撮影距離は概算

 LM-EA7にヘリコイド付Mマウウントアダプターと中間リングを介して引き伸し用レンズで撮影してみました。あれ〜モヤタク!です。順光なのに、フレアのせいで、彩度もコントラストも低下してレトロな味わい・・・度が過ぎます。アダプターの内面反射も気を掛けることが必要と認識しました。
 へリコイド付Mマウウントアダプターもノーブランドの中間リングも内面がツルツルですので、改善するため植毛紙を張りました。効果は抜群です。この植毛紙は、昔SVなどのミラーボックスに貼った残りを使いました。植毛紙は、光を吸収しますが、ホコリも吸い付くので注意が必要です。



 植毛紙貼り付け前                      植毛紙貼り付け後


 
 上の表に最短撮影距離を記載していますが、LM-EA7の繰出し量4.5mmだけでは本当に遠景だけしか使えませんので、クローズアップ撮影では、あらかじめヘリコイドでおおよその位置のちょっと先にピントに合わせるておき、AF/MFボタン(AFオンボタン)でAFを作動させて、絞りを調節できるようにします。

 

2.2 EL-NIKKOR-50mm F2.8用の特製中間アダプター

 EL-NIKKOR-50mm F2.8はきっぱり諦めて、63mm F3.5かF2.8を求めることも考えました。実は、代わりの50mm F2.8をフジナー-E 75mm F4.5と共に数年前に入手しており、おいらをほっぽるのかと言われそうです。そこで、EL-NIKKOR 50mm F2.8 と50mm F4を使用するために特製中間アダプターを組み合わせてみました。使用したのは、Mマウント-L39マウントダプター [1mm]+PENTAX ライカマウントアダプターB [7.5mm]+中間リング [7mm]です。これにMマウントのフランジバック 27.8mmを加えて合計で43.3mmとなります。EL-NIKKOR 50mm F2.8は、M39-M42ねじリング(0mm)を用いて取付けます。
 

特製中間アダプターの材料とシムリング。EL-NIKKOR-50mm F2.8を装着。なかなか整ったフォルムです。
カジリ防止のため、潤滑油は油膜を保つ程度塗布します。


 特製中間アダプターの組立は容易なはずだったのですが、7mmの中間リングにはノーブランドの呪いがかかっていました。GAOHOUやDovewillと同じというふれ込みのノーブランドの中間リングです。ライカマウントアダプターB に対して 1/2ターン程度しかねじ込めないのです。ねじ山の塗膜を落しても、1ターン程度しかねじ込めません。奥のほうのねじの谷が浅く、ねじ山の形もよくありませんので、修正して元までねじ込めるようにした結果、この特製中間アダプターの面間は、バカ締めせずとも実測で15.4〜15.5mmとなりました。

 この特製中間アダプターで、遠景の撮影は満足しますが、LM-EA7の繰出し量4.5mmなので 0.65m程度までしか寄れず、すこし物足りない気がします。煩雑ではありますが、1.6mから0.17mでは、やはりヘリコイド付Mマウウントアダプターと交換して使うことになります。
 この特製中間アダプターにEL-NIKKOR-50mm F2.8とEL-NIKKOR-50mm F4を付けて試写してみました。
                                           


 ところで、中間リング 7mmですが、基準にしたマウントアダプターKでは、塗膜を落して3/4ターン、ねじ山を修正することで2ターン回りますが、あと1/4ターンぐらい締めきれない状態です。ライカマウントアダプターB は付くようになったので、ここまでとしましたが、M42マウントでは合格でもSマウントとしては不合格でした。
 なお、EL-NIKKOR 50mm F2.8 N は、フランジバックが43mmなので適合しませんが、多少(0.3mm程度)のスリスリで使用できるようになるかも知れません。昔から、EL-NIKKORは、本来の引き伸し用レンズとしてだけでなく、組み込み機器など産業用として広く使われていました。現在も、いくつかのEL-NIKKORレンズは、産業用のRayfact ILシリーズとして供給されています。

 

 

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 更新日 : 2021・01・11.

 

 

    余 談

[ひとり言]
 ご存知のように、フレアは、逆光や半逆光などの強い光がレンズやカメラ内部で反射するため、画面が白っぽくカブリます。タクマーレンズの場合、標準レンズや広角レンズでは、鏡胴に内面反射するところはほとんどありません。望遠レンズの場合、艶消し塗料が経年変化で白っぽくなっている場合は、植毛紙を貼ると効果があります。
 なお、レンズのカビやレンズ表面にクモリなどがあってもフレアは発生しますので、良いコンデションに保つことが大切です。当時のスーパーマルチコーティング(SMC)でも、ゴーストに対してはそれなりに効果があると感じています。また、広角レンズではフードを装着はおまじないだと思っていますが、105mm以上の望遠レンズではフレアやゴーストの低減には効果があると思います。

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[ひとり言]
 もう20年以上前なのですが、新品のジュピター9 85mm F2.0が、SPやESII などのSマウントのボディに付かなかったことがありました。このときは、雄ネジの塗料が災いしていたので、地道に塗膜を剥がしました。
 ペンタックスには、Sマウント特有の厳しめの公差があるようです。Sマウントレンズのバックキャップですが、ずっと昔からゆるゆるだったのですが、現在入手できるものは、ピチピチです。しなくてもいいのに。明らかに再生産されたものの型は厳格になっています。

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